RPA(業務ロボット)シナリオの作成手順

【ステップ別】RPAシナリオの作成手順を紹介!作成時のポイントも徹底解説!

「RPA(Robotic Process Automation)」とは、ロボットの使用によって、定型業務を自動化できるツールです。働き方改革が叫ばれ、長時間労働の改善や人材不足解消が企業課題となっている中、注目を浴びるようになりました。

RPA運用において欠かせないのが「RPAシナリオ」です。RPA運用の成功はRPAシナリオの質に左右されるといっても過言ではありません。

当記事では、RPAシナリオの概要やシナリオの作成手順・ポイントについて解説します。

RPAのシナリオとは?

RPAのシナリオとは?

RPAのシナリオとは「作業手順」のことです。例えば、ExcelやWordで請求書を作成する際のシナリオは以下のようになります。

  1. ExcelまたはWordの立ち上げ
  2. 納品書フォーマットの選択・立ち上げ
  3. 提出先・件名・商品やサービス・数量をそれぞれ入力
  4. フォルダに名前をつけて指定フォルダに保存
  5. 請求書の出力(印刷)

上記のとおり、シナリオは1つの作業手順をステップごとに分けて、作業全体の流れをわかりやすく示したものです。手順をステップごとに分けることで、ロボットに任せて自動化できる業務と人が担当しなければならない業務を線引きできます。

RPA運用の主な流れ

RPA運用の主な流れ

PRA運用の流れは主に以下のとおりです。

  1. シナリオの設計
  2. シナリオの作成
  3. シナリオのテスト

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.シナリオの設計

業務の可視化をはじめ、作業に必要なデータやツール、例外への対応方法などの洗い出しを行い、シナリオを設計していきましょう。この際、データフロー図などを作成すると、データの流れを把握しやすくなるため、記載漏れをなくせます。

また、洗い出す中で、どの業務を自動化するのか、引き続き人が行わなければならない作業は何かについても確認し線引きを行います。

2.シナリオの作成

シナリオの設計が終わったら、RPAシナリオを作成していきましょう。シナリオを作成する際は、ロボットと人の違いについて理解しておかなければなりません。

例えば、人が作業を行う場合は入力部分や処理方法を変更するように、状況に応じて適宜判断しながら進められます。しかし、RPAロボットは自身で判断しながら柔軟な対応が行えないため、厳密なルールを設定しておかなければなりません。

したがって、入力項目やどのタイミングでボタンをクリックするかなど、細かくシナリオを作成する必要があります。

3.シナリオのテスト

シナリオが完成したら、想定通り動作するかシナリオのテストを行いましょう。シナリオのテストを確認しないまま、運用してしまうと、予期せぬトラブルが起きてしまい、社内全体の業務停止や、それに伴う損失の発生という事態にもなりかねません。

したがって、問題なく動作するかはもちろん、実際のデータを使用したり、長時間稼働したりしてもエラーが発生しないかきめ細かく確認する必要があります。

どのようなテストを行えばよいかは後述の「シナリオテストを実施する」のとおりです。

RPAのシナリオを作成する際の4つのポイント

RPAのシナリオを作成する際の4つのポイント

RPAのシナリオを作成する際のポイントとして次の4つが挙げられます。

  • RPAを使用する目的を明らかにする
  • 業務フローを可視化する
  • 現場の担当者が主体となる
  • 他の人にチェックしてもらう

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.RPAを使用する目的を明らかにする

業務効率化やヒューマンエラーの削減など、PRAの導入目的は企業によって様々です。導入目的を明確にしていないと、目的から外れたRPAロボットができてしまいます。

また、シナリオを作成してからズレの修正作業が発生するなど、効率的にシナリオを作成できません。したがって、RPAシナリオを作成する際は、RPAの使用目的を明確にしておく必要があります。

2.業務フローを可視化する

RPAシナリオを作成する際は、業務フローの可視化が必須です。業務フローが分かりにくいと、質の高いRPAシナリオは作成できません。

したがって、記載漏れがないか確認するとともに、RPAが判断できない点や例外部分についても考慮しながら可視化していく必要があります。

3.現場の担当者が主体となる

RPAシナリオの作成は、現場担当者を主体に進めていきましょう。RPAで自動化を図ろうとしている業務の内容を理解しているのは現場であり、注意点や例外といった細かい部分を熟知しているのが現場担当者だからです。

現場担当者を主体にすれば、目的に合ったシナリオを作成できるでしょう。

4.他の人にチェックしてもらう

RPAシナリオの質をさらに高めたいという場合は、他の人にチェックしてもらうとよいでしょう。前述のとおり、シナリオを作成する際は、現場担当者が主体とするのが1番ですが、日頃の作業手順に慣れているために、効率化につながる手順を見落としているケースも少なくありません。

また、属人化によって作業がブラックボックス化してしまい、業務を効率化できる部分に気づけていない可能性があります。他の人にチェックしてもらい、まわりの意見を聞くのもRPAシナリオ作成には欠かせないポイントです。

RPAのシナリオを作成する手順

RPAのシナリオを作成する手順

RPAのシナリオを作成する手順は以下の3ステップです。

  1. 処理フローに合わせてノードを並べる
  2. 時間指定して設定する
  3. シナリオテストを実施する

それぞれ詳しくみていきましょう。

ステップ1.処理フローに合わせてノードを並べる

「ノード」とは、フローを設計するための処理単位です。様々な要素をもとに処理フローを合わせてノードを並べて設定を行い、RPAシナリオにつなげていきます。

ステップ2.時間指定して設定する

RPAは人と違って柔軟に対応ができないため、イレギュラーが発生すると即座にエラーとなってしまいます。したがって、RPAシナリオを作成する際、それぞれの動作を厳密に設定しなければなりません。

データの入力タイミングやクリックするボタンの指示など、細かく時間指定して設定していきます。

ステップ3.シナリオテストを実施する

RPAシナリオが完成したら、シナリオテストを実施しましょう。シナリオテストで行われるテストは以下の4つです。

  • 単体テスト:アプリ立ち上げやクリック場所など、1つの過程で行う操作を確認するテスト
  • 結合テスト:アプリの立ち上げ→納品書フォーマットを開→決まった部分のデータを抽出するなど、一連の流れを確認するテスト
  • 本番データテスト:結合テストクリア後、本番環境のデータで正しく動作するか確認するテスト
  • 耐久テスト:処理量のアップや長時間の運用など、RPAシナリオの耐久力を確認するテスト

いきなり実環境に導入してしまうと、社内業務全体がストップする事態にもなりかねません。できる限り、トラブルを発生させないためにも、しっかりとテストを行ってから、本番環境に導入するようにしましょう。

正確なシナリオ設計なら「外注」がおすすめ

正確なシナリオ設計なら「外注」がおすすめ

RPAシナリオはRPAシステムの根幹をなすものです。したがって、RPA運用の成功は正確なRPAシナリオ設計といっても過言ではありません。

ただ、正確なシナリオ設計は一定のスキルが求められます。RPAの導入経験がなかったり、自社にIT人材がいなかったりすると、シナリオ設計が上手く行えないため、失敗するリスクは高くなってしまうでしょう。

シナリオ設計がネックとなってRPAの導入を踏みとどまっているならば、シナリオ設計をプロに外注することをおすすめします。プロに外注すれば、自社の手間がかからないのはもちろん、正確なシナリオを設計できるため、RPA運用の成功確率を高められるでしょう。