RPAとは、ロボットを作成・使用してパソコンで行う定量作業を自動化できるツールです。人手不足による業務負担の軽減などを目的に多くの企業でRPA導入が進んでいます。
高い費用対効果を見込めるRPAですが、費用対効果を高めるためには導入時にかかる費用はどのようなものがあるのかしっかりと理解し、想定しておかなければなりません。
当記事ではRPA導入にかかる費用種類と相場、負担軽減できる補助金について紹介します。
多くの企業が価格を重視して導入している

画像引用:RPAの導入コストはどのくらい?費用の相場や目安をご紹介|RoboTANGO
RoboTANGOが行った独自アンケートによると、有料のRPAツールを導入している企業のうち、「価格を重視していた」と回答した企業は約37%だったそうです。
サポートの充実性や複数人利用できることと並んで、多くの企業が価格を重視していることがうかがえます。
RPA導入時にかかる費用種類と相場

RPA導入時にかかる費用種類は以下の7つです。
- ライセンス費用
- 初期費用
- ハードウェアの購入費用
- 保守費用
- 導入の支援費用
- 開発の委託費用
- 研修費用
ここでは上記の費用種類と相場について詳しくみていきます。
1.ライセンス費用
RPAツールを導入する際に確認するべきなのが、ライセンス費用です。日本国内で普及しているRPAツールのほとんどは、最新版を常に利用できる月額・年額制のサブスクリプションという形でライセンス提供しています。
そのため、買い切り型プランでの提供はほとんどありません。
また、RPAツールは「サーバー型」「クライアント型」「クラウド型」の3タイプが存在し、タイプによってライセンス費用の相場も異なります。各タイプのライセンス費用相場は以下のとおりです。
- サーバー型:月額8万~20万円程度(年額100万~240万円程度)
- クライアント型:月額5,000~12万円程度(年額3万~140万円程度)
- クラウド型:月額10万~20万円程度(年額120万~240万円程度)
サブスクリプションという料金形態上、1度RPAツールを導入してしまうと、ライセンス費用をずっと支払わなければなりません。したがって、ライセンス費用を払うだけの費用対効果が見込めるツールなのかをしっかりと判断する必要があります。
2.初期費用
固定費として発生するライセンス費用とは別に初期費用を設けているRPAツールもあります。ツールによって費用は異なるものの、10万~50万円が初期費用の相場です。
初期費用ははじめてRPAを導入する際、基本操作の説明や環境性設定などをサポートしてくれるサービスへの対価です。したがって、初期費用がもったいないと感じる方は、初期費用も必要経費だと理解しておくとよいでしょう。
3.ハードウェアの購入費用
サーバー型のRPAの場合、管理・運用の基盤となるオンプレミスサーバー環境が必須となります。パソコンをサーバーとして使用する場合は、一定上以上のスペックを備えたパソコンを準備しなければなりません。
また、クライアント型のRPAツールを導入する場合、稼働環境を安定させて、人の作業をRPAのロボットが邪魔をしないよにRPA専用パソコンの購入が推奨されています。
各費用相場は以下のとおりです。
- パソコンの新規購入:10万円程度
- サーバーの新規購入:20万円程度
RPAを導入する際、必要に応じてハードウェア購入費用も必要になることを理解しておきましょう。
4.保守費用
自社でRPAロボットを開発できなかったり、エラーを復旧・回収できずに外部へ対応を依頼したりする場合、ライセンス費用とは別に保守費用がかかります。具体的な保守費用は依頼内容などによって大きく変化するため、ここで断言はできません。
ただ、エラー対応のためにエンジニア1人に常駐してもらってロボット開発を依頼するといったケースだと、月々60万~150万円程度はかかるそうです。
5.導入の支援費用
エラー時の問い合わせや導入アドバイスがオプション設定になっているツールもあります。チャットサポートやビデオ通話によるアドバイスといったオプションの導入支援サービスを受ける場合、導入支援費用として月々5万~10万円程度かかるでしょう。
また、ガイドラインの作成などをはじめとしたRPAプロジェクト全般の支援を受けるものだと、月々10万円程度かかる場合もあるようです。
6.開発の委託費用
RPAロボットを上手く社内開発できないという場合、ロボット開発を外注するという方法もあります。
RPA開発の委託費用相場はソフトウェアロボット1体で15万~30万円になっているようです。
7.研修費用
上記「導入の支援費用」の項目でも触れたとおり、RPA開発を外部委託するコストは決して高くないため、外部に依存したままではコストがかかる一方です。したがって、自社でRPA開発できるよう研修を実施し、スキルを身に着けていく必要があります。
研修は習熟度ごとに数日間~数日間のカリキュラムで構成されているケースが一般的で、研修費用の相場は1人1回あたり3万~30万円程度のようです。
導入費用の負担を軽減できる3つの補助金制度

RPAの導入費用負担を軽減できる補助金制度として次の3つが挙げられます。
- IT導入補助金
- ものづくり補助金
- 小規模事業者持続化補助金
どのような補助金なのか、それぞれ詳しくみていきましょう。
1.IT導入補助金

参考:IT導入補助金
「IT導入補助金」とは、小規模事業者や中小企業が自社の経営課題の解決に見合ったITツールを導入した際、その導入費用の1部を補助するための制度です。ツールの導入対象は業務プロセスで、補助金の申請額も業務プロセス数で変わります。
補助金の上限は30万~450万円ですが、補助率は半分のため、RPAなどの導入費用負担が半分になる可能性が高いです。補助金額や申請条件などについて知りたい方は、公式ホームページを確認するとよいでしょう。
2.ものづくり補助金

参考:ものづくり補助金
「ものづくり補助金」もIT導入補助金と同様、小規模事業者や中小企業が対象の補助金です。生産プロセスの改善や試作品開発といった設備投資に利用できる制度で、1,000万~3,000万円の範囲で補助が交付されます。
ただし、こちらも補助率は半分のため、1,000万円の設備投資に関する申請が通った場合、受けられる補助金は500万円です。また、ものづくり補助金は細かい申請条件が定められており、申請を検討する際はしっかりと確認しておかなければなりません。
3.小規模事業者持続化補助金

参考:小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」とは、商工会議所の管轄エリアで事業展開している個人事業主(小規模事業者)が申請できる補助金制度です。補助対象事業者は商工会連合会もしくは日本商工会議所の支援を受けて事業計画を作成し、担当事務局にも申請することで50万円の補助金が交付されます。
ただ、小規模事業者持続化補助金は申請資格の有無は業種と常時雇用の従業員数によって変わるため、申請前に申請資格があるのか確認しておかなければなりません。申請資格条件は以下のとおりです。
- 宿泊・娯楽業を除く商業・サービス業:常時雇用の従業員が5人以下
- 宿泊・娯楽業:常時雇用の従業員が20人以下
- 製造業その他:常時雇用の従業員が20人以下
より詳細を知りたい方は公式ホームページを確認するとよいでしょう。
RPAの導入費用に関するまとめ

RPAの導入費用は「ライセンス費用」「初期費用」以外にも、「ハードウェアの購入費用」「保守運用費用」など様々なものがあります。そのため、ライセンス費用や初期費用だけで導入するRPAツールを決めてしまうと、導入後に予算が足りないという事態になりかねません。
したがって、RPA導入にかかる費用の種類と相場を理解するとともに、自社はどの費用がかかるのかしっかりと見積もっておく必要があります。また、RPA導入の費用負担を軽減できる補助金もあるため、これらも上手に活用しながら、RPAの導入を進めていきましょう。