「Power Automate for desktop」とは、Windows 10・11ユーザーであれば無償で利用できる「RPAソフト」です。以前は有料のRPAソフトばかりだったため、導入を躊躇している企業が多くありました。
しかし、無料で導入可能な「Power Automate for desktop」が出てきたことで、業務を自動化し効率化している企業が増えています。本記事では「RPAの導入状況」や「Power Automate for desktopの活用事例」を解説します。
企業におけるRPAの導入状況

「RPA」とは業務においてのルーティンワークや単純作業を自動化する、クローラーやツールのことです。世界中で普及が進んでおり、日本国内でも2019年11月時点で「約4割」と、RPAを導入している企業が急速に増えています。
「RPA」の導入には、予算や担当者の確保などの環境を整える必要があるため、大手企業では「約半数」が導入していますが、中小企業では導入している企業が「3割」にも及びません。
また日本は「1部署から」など、まずは導入範囲や期間を決めて試験的に導入する企業が多いため、各部署に導入されるまでにも時間を費やす傾向があります。
Power Automate for desktopの活用事例8選
Power Automate for desktopの活用事例として、以下の8つをご紹介します。
- T-Mobile
- 日商エレクトロニクス株式会社
- 株式会社パソナ
- 株式会社retro
- 東京海上日動火災保険
- Coca-Cola Bottling Company United
- Pembina
- Hanover Insurance Group
実際に導入している企業がどのように活用しているのか、それぞれ詳しくみていきましょう。
活用事例1.T-Mobile

引用:T-Mobile
T-mobile社は米国最大級の「無線通信事業」で、プログラミングやRPAに関する知識を多くもっている社員が多数在籍しています。T-mobile社は「Power Automate for desktop」を参考に、自社に適したボットの開発を試み、見事成功させました。
自社に適したボットの開発に成功したことで、チームの作業効率は10倍になり、社員の単純作業を削減することに成功しています。
活用事例2.日商エレクトロニクス株式会社

日商エレクトロニクス株式会社では「ネットワーク製品担当マーケティング部隊」が「Power Automate for desktop」を導入しています。多くのメーカーのネットワーク商材を取り扱っているため、以前は担当マーケティング部署が複数ありました。
そのため、営業担当者がマーケティング部隊に問い合わせたくても、担当部署がわからず問い合わせにくいといった課題を抱えていたそうです。
課題解決のために導入されたのが、「案件依頼フォーム(Microsoft Forms)」です。導入した結果、自動で問い合わせ通知が担当者に振り分けて送信されるようになり、業務効率化に成功しています。
活用事例3.株式会社パソナ

引用:株式会社パソナグループ
株式会社パソナでは「営業支援チーム」が「Power Automate for desktop」を導入しています。営業支援チームの業務は多岐に渡るため、新たに人員を確保しても即戦力化というわけにはいかず、担当案件数や1人当たりの業務量が増える一方でした。
そこで最も業務負荷が高い「月次の業務報告書」を「Power Automate for desktop」で自動化しました。その結果、報告書の配信者のリストを作成するだけで「報告書作成の依頼」から「ファイリング」まで自動化することに成功しています。
「業務報告書処理」のために確保していた時間に他の作業を行えるようになったため、チーム全体の作業時間を60時間ほど削減したそうです。
活用事例4.株式会社retro

引用:株式会社retro
株式会社retroは「買い取りに特化した自社メディア」を運営しています。株式会社retroは「Power Automate for desktop」を導入し、下記の5つの業務を自動化しました。
- マーケティング
- 商品掲載
- 在庫管理
- 発送管理
- 人的管理
仕組みが違う複数のECサイトに商品を掲載していたため、人の手で行っていた「商品掲載」では、Power Automate for desktopが特に役立ちました。
Power Automate for desktopの導入によって、自動化だけでなく「属人化」からの脱却にも成功した事例です。
活用事例5.東京海上日動火災保険

引用:東京海上日動火災保険
東京海上日動火災保険は、業務効率化だけでなく「社員のデジタル意識向上」を狙って「Power Automate for desktop」を導入しています。ノーコード手法で「必要な業務アプリ」を担当者自身で開発できるようにしました。
Power Automate for desktopを導入したことで、事務作業などの業務の効率化だけでなく、「社員のデジタル化意識の向上」にも成功したそうです。
活用事例6.Coca-Cola Bottling Company United

引用:Coca-Cola Bottling Company United
Coca-Cola Bottling Company United社は「コカ・コーラ」を開発した大企業です。大企業がゆえに大量のルーティンワークがあるため、毎日の単純作業を効率化するために「Power Automate for desktop」を導入しました。
WindowsやWebアプリケーションの繰り返し処理を自動化できたことで、マスター自動サービスエージェントの作成にも成功しています。
活用事例7.Pembina

引用:Pembina
Pembina社は「エネルギー輸送および中流サービス」の大手企業です。Pembinaの「ビジネスアナリスト」が、自身のルーティンワークを効率化するためにPower Automate for desktopを導入しました。
その結果、クライアントや開発チームの力になれただけでなく、本来の業務に集中できるようになったことで、自身のキャリア向上にも成功しています。
導入事例8.Hanover Insurance Group

Hanover Insurance Group社は、個人や企業などに「特殊な損害保険商品を提供している」大手企業です。Hanover Insurance Group社は、顧客からの要望をまとめる作業を効率化するために「Power Automate for desktop」を導入しました。
顧客からの要望をまとめる作業は膨大なため、たくさんの時間と人手を要し、熟練の従業員も手作業でこなさなければ終わらない状態でした。しかし、Power Automate for desktopを導入したことで、100時間以上の作業時間と人員削減に成功し、熟練の従業員の疲弊を避けられるようになったそうです。
まとめ

「RPA」は世界中で普及が進んでおり、日本国内でも2019年11月時点で「約4割」と、RPAを導入している企業が急速に増えていますが、RPAの導入には、予算や担当者の確保など環境を整える必要があります。
具体的な導入状況は、大手企業では「約半数」、中小企業では「3割」ほどです。「Power Automate for desktop」を導入することで、チームや部署の業務だけでなく、自身のルーティンワークを効率化し成果を上げることで、キャリアアップしている方もいます。
「Power Automate for desktop」はWindows 10、11を利用しているユーザーであれば、誰でも無償で導入できるため業務の効率化に役立てていきましょう。