業務を自動化し、無駄な作業を削減できるRPAツールですが、プログラミングスキルが操作できない場合も多いです。Power Automate Desktopであれば、これらの専門スキルがなくても直観的な操作で業務の自動化を行えます。
上手く活用できれば、業務効率化や人手不足解消につなげられる他、生産性の向上も実現できるでしょう。当記事では、「Power Automate Desktop」の概要やメリットなどを解説します。
Power Automate Desktop(パワー・オートメイト・デスクトップ)とは?

「Microsoft Power Automate Desktop」は、Microsoftが提供しているRPA(Robotic Process Automation)ツールです。元々は「Microsoft Flow」という名称で提供していましたが、2019年の機能追加時に現在の名称に改名、ブランドを刷新しました。
Microsoft Power Automate Desktopに含まれている「Power Automate Desktop」は、Windows上でキーボードやマウス操作などを組み合わせれば、コードを書かなくても自動化が可能です。
Power Automate Desktop の価格

ここでは、Power Automate Desktopの価格を「有償版」と「無償版」の2つのパターンに分けて解説します。それぞれどのような特徴があるのか詳しくみていきましょう。
有償版の場合
有償版は「Power Automate」「Microsoft 365」など、ライセンス契約した際に作成したアカウントを利用するタイプのため、料金はライセンスによって異なります。ライセンスごとの価格は以下のとおりです。
項目 | Power Automateの価格 | Power Automate Desktop の利用可否 |
---|---|---|
ユーザー毎のライセンス | 1,630円 | 否 |
ユーザー毎のライセンス・アテンド型 | 4,350円 | 可 |
フリー毎のライセンス | 10,870円 | 否 |
非アテンド型RPAアドオン | 16,310円 | 可 |
上記のとおり、Power Automate Desktopの利用可否はライセンス契約によって異なります。Power Automate Desktopを使用する際は、利用可能かどうかしっかりと確認しなければなりません。
無償版の場合
無償版は「Windows 10 以降のOS」でMicrosoft アカウント利用時であれば無料で利用可能です。その他の条件では使用できないため、無償版を利用したい場合は、これらの環境を整備する必要があります。
Microsoft Power Automate Desktopでできる3つのこと

Microsoft Power Automate Desktopでできることは以下の3つです。
- 400種類を超えるアクションの自動化
- レコーダー機能による操作の記録
- ログの一元管理
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.400種類を超えるアクションの自動化
Power Automate Desktopが行えるアクションは400種類以上あります。したがって、基本的なことであれば、大半を自動化できるといっても過言ではありません。
2.レコーダー機能による操作の記録
Power Automate Desktopには作業者のアクションをフローとして記録し自動化できる「Webレコーダー機能」「デスクトップレコーダー機能」の2つの機能があります。
アクションの組み合わせではなく、実際の操作を記録するため、プログラミングが未経験の方でもパソコン操作を自動化しやすいのが特徴です。Excelのマクロを使用した経験があれば、理解しやすい機能です。
3.ログの一元管理
Power Automate Desktopは、作成したデスクトップフローが正しく実行されているか確認する機能が備わっています。
アクションの実行時間などのログを一元管理できるため、フローの管理や実行を効率的に行えます。ただし、ログの一元管理は有償版のみのため、無償版は利用できません。
Microsoft Power Automate Desktopでできないこと

非常に高い機能を持ったPower Automate Desktopですが、下記の作業の自動化はできません。
- 顧客との商談のように人の判断が介在する作業
- 人と人とのコミュニケーション
- パソコンを使わない作業
- スケジュール実行、トリガー実行
- Windows 10以前の作業環境を自動化
コンピューターである以上、人でなければ判断できない状況に対応することは不可能です。
Power Automate Desktopを活用する4つのメリット

Power Automate Desktopを活用するメリットは下記の4つです。
- 無償で利用できる
- 手作業による負担を減らせる
- 専門的なスキルや知識を必要としない
- Office製品と連携しやすい
1つずつ解説します。
1.無償で利用できる
Power Automate Desktopは無償で利用できるツールでありながらも、自動化に必要な基本機能を豊富に備えています。今からPower Automate Desktopを始める方や、個人事業主の方は無償版から始めてみると良いでしょう。
2.手作業による負担を減らせる
Power Automate Desktopを活用することで、日々のルーティン作業の自動化によって企業の負担を大幅に減らせます。これにより「業務の確実性が増すことでミスを無くす」「人件費のカット」が実現できるのです。
3.専門的なスキルや知識を必要としない
専門的なスキルや、知識を持っている方でなくても使えるレベルまで落とし込まれたツールです。実行環境は主にパソコンであるため、作業者への負担がなく業務を遂行できます。
4.Office製品と連携しやすい
Microsoft社のツールであることから、他社のツールに比べてExcelやOutlookとの機能連携が充実しています。
また「Excel」と「Outlook」は、日本の企業のほとんどが活用しているツールのため、ExcelとOutlookを自動化できることは大きな業務効率化につながるといえるでしょう。
Power Automate Desktopを活用する2つのデメリット

Power Automate Desktopのデメリットは次の2つです。
- 使いこなせないケースもある
- インターネットに繋がっていないと動かせない
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.使いこなせないケースもある
Power Automate Desktopは連携できるアプリやできる作業が多いため、すべてを使いこなせないケースがあります。
行っている連携が最適かどうか判断できない他、連携可能でありながら、他社開発アプリだと連携しないという場合もあるため、使用する機能が限られることも少なくありません。
2.インターネットに繋がっていないと動かせない
クラウドサービスという特性上、Power Automate Desktopを活用するにはインターネット環境が必須です。
オフラインでは利用できない他、Microsoftのサーバーがダウンしてしまう可能性も少なくありません。したがって、これらを考慮して使用する必要があります。
まとめ

Power Automate Desktopは、仕事の中のルーティン作業を自動化し、時間の削減や生産性向上を実現することが可能です。実行できるアクションは400種類以上もあり、業務の幅が広がります。
「今から始めていきたい」「会社に導入を考えている」という方には無償版でも十分に効率化を図れるため、まずは無償版から導入するとよいでしょう。ただし、無償版はWindows 10以降のOSかつMicrosoftアカウント利用時でなければ、利用できません。
Windows 10以降のOSかつMicrosoftアカウント環境がない場合、まずはこの環境を整備するようにしましょう。